本川 達雄氏の1992年の著書である。
何となく聞いたことがあるような気がしていたが、結構なベストセラーであるらしい。
手元のものも1996年の物ながら43版を数えている。
私は生物学に別段の興味があるわけでは無い。しかしながら本書を「組織のあるべき大きさ」に関する指針が得られないかという観点で手に取った。
つまり、「身の丈に合った」とは?で考えていたことである。
結果的にその目的はある程度達成できた。
本書の中で「仕事に役立つかも」という変な観点で読んだときに(^^;、参考になった文章を引用してみる。
『技術というものは、次の三つの点から評価されねばならない。
(1)使い手の生活を豊かにすること
(2)使い手と相性がいいこと
(3)使い手の住んでいる環境と相性が良いこと。』
「技術」を「道具」とか「開発言語」とか置き換えても良いと思う。
��例えば、何でもかんでもJavaで作ればいいと言うものではないだろう(^^;
『実に科学とは単純明快で、悪く言えば節操がない。
ここが科学のおもしろく、力強いところである。』
うーん、神の摂理・真理は人間には分からないので、仮説検証しか無いかもねぇ。
『それに対し、植物やサンゴのように同じユニットが集まって出来ているものは、
個々のユニットが小さいながらも全能だから、その一個をもとに全体を新たに
作ることができるだろうし、失ったユニットを再生する能力も強いのだろう。』
『こう見てくると、ユニット構造でできた群体は、安上がりに大きなサイズになれ、
長生きし、捕食者に食べられにくい。』
一騎当千の少数精鋭野武士軍団かゲリラ軍団か、逆にどこを切っても金太郎か...
『「デザイン」をその動物の拠って立つ論理と言い換えてもいいだろう。』
企業や組織、集団のあり方(デザイン・形態)も、また然りというと、言い過ぎであろうか。
その他にも、なぜ細胞はこの大きさなのかとか、なぜ毛細血管はこの太さなのかとか、体に占める骨の割合はなぜこうなのかとか、組織内の直接部門と間接部門の比率に対するアナロジーとしてとらえる(こじつける?)ことが出来そうな話が書いてある。
全て推論・仮説にすぎないが、物事にはそれなりの理由があってそうなっている(つじつまが合う物だけが生き残っている)と思わせることが説明されている。
面白いです。
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