『経済ってそういうことだったのか会議』や
『できる社員は「やり過ごす」』
も出している日経ビジネス人文庫のうちの一冊。
論理的だけのイヤな奴に墜ちず。また説得させるのでなく、納得してもらうための「相手の気持ちの動かし方」についても書いている。
それを、読者である私にも分かるように、まずは論理的な思考の方法についてきちんと書いている。その後で対人能力に関して記述する流れにも工夫がある。
著者の船川淳志氏は武道にも通じているとのことで、本書の中でも、
- 思考力:武道の「型」、納得してもらうための必要条件
- 対人力:武道の「組み手」、納得してもらうための十分条件
の様な対比でも分かりやすく説いている。
��厳密には上記の対比ではないのだが、私が意訳・理解している。
また、本書の中身ではないのだが、各章に『ビジネス人のコアスキル』のマップを示し、その章で何を説明するのかを示している。これがまた分かりやすい。
��私も、一時期、プレゼン資料で使ったことがある。
��また、全然畑が違うが、Postfixのコンポーネント関連図みたいでおもしろい。
いつものように、気になったところを引用してみる。
『「経営はアートかサイエンスか」という議論がある。...
アートにせよサイエンスにせよ、それぞれを学ぶ時に共通しているのは型・形があると言うことだ。...こうした型を学ぶと、効果的に自分の体や頭の使い方が学べることだ。』
しかし、安易な「型・フレームワーク礼賛」に終始せず、さらに続けて、
『...型自身を学ぶことは最終的な目的にならないことも、アートでもサイエンスでも言える。「型を学ぶ」ことから入って、「型に学ぶ」わけだ。』
最後の一文は、私が思っていることを簡潔に言い表してくれた。
守・破・離とも通じることであると思う。
『型を学ぶ』フェーズである『守』から入って、他の人のベストプラクティスである『型に学ぶ』ことをしながら、自分の体験・経験を元に自分なりの型を作る『離』に如何に持っていけるかがポイントであろう。
��「型に学ぶ」つもりでやっていることを分かってもらえないことも多いし、
��実際にやるのも難しいのだが。
さて、レビューらしいレビューを書いておく(^^;
本書でMBAになれるわけでもなく、ビジネススクールで学べるすべてを書いているわけでもないと思う。
しかし、豊富な参考資料へのポインタと、各種コンサルテーションツールの概要を示し、MECEに且つ、分かりやすい図も用いて説明して800円なのである。
まさにお買い得であると思う。
いっぱい引用したいところがあるが、最後に自戒のために一つ引用する。
『加えて、企業では特に「思考停止の耳ざわりのいい言葉」がある。
「シナジー効果」「勝ち組企業」「実力主義」「集中と選択」等など、本来は重要な意味であるにもかかわらず、組織の中の集団思考に組み込まれて、あたかも催眠術を引き起こす魔法の言葉のように働き、思考停止を拡大してしまう悪循環を起こしてしまう。』
「魔法の言葉」を使うのと、「良くわからない例え話」を使うのは、どちらも別の方向で危険なのだと思う。
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