私は建設業ではないのだけれど、人によっては「IT土方」と呼ばれることもある職種に関係している。
また、内装工事どころか外装も終わっていない建設現場でヘルメットとマスクと安全靴を履いてプロジェクトミーティングとかサーバの構築を行ったこともある。
本書は、ある人の一言がきっかけになって手に取った。
その一言とは、
「ビルの建築とか、素人目にはぴしゃーっと予定通り仕上がるように見えるよね。
俺たちSEの方が、それなりに学んできていて頑張っているのに、なぜ予定通り出来ないんだろう。
しかも、ビル工事って、いろんな会社がその日その日で集まってやっているよね。
どうやっているんだろう。」
と言うものだった。
本書を読んでその片鱗が窺えないかなと思ったのである。
結果から言うと、建設業独自ノウハウであろうという事は書いていないと感じた。
��建設業のテクニカルタームは出てくるけど。
しかし、本書が書かれた1987年当時でここまでプロジェクト管理(とは明記していないが、中身として)に関して書かれた本は、いわゆるIT業界では少ないのではないかと思う。
やはり業種の歴史が違うのかもしれない。
大きく、
・業務能力
・個人能力
・対人能力
に分けて実例・事例・逸話・引用を交えて説明している。
リーダシップスタイルやコーチングに関する記述、交流分析の話も出てくる。
もう少し体系化した説明が出来る面もあるが、これはすごい。
例によって、気に入ったところを引用する。
��いっぱいあるが、特に絞って。
『組織化力とは、職務遂行上、組織構成メンバーを最も効果的に配置し、その潜在能力を充分に発揮させる能力である。』
うーむ。
『問題とは、現状と目標の差異である。』
その後に、問題解決のための道筋も書いている。
『航空自衛隊...ある隊長(空将、医学博士)が退職するに当たって高級幹部自衛官に訓話を与えている。...「部下評価上の五つの誤解」と言ったものである。
(1)部下はすべて健康であると思っている誤解
(2)注意力は持続すると思っている誤解
(3)一度言って聞かせたことは、必ず記憶していると思っている誤解
(4)文書にして配布されたものは、必ず読まれていると思っている誤解
(5)「こんなことは言わなくても分かっているだろう」と思う誤解
...自分の物差しで部下を計ると失敗する。』
うーむむ。
『米国の経営コンサルタントの草分け...メアリー・パーカー・フォレット女史は...
「良い経営とは良い管理をすること。良い管理とは良い命令をすること。
良い命令とは、命令する者と命令される者を同じ景色(イメージ)の見えるところにつれていく、そのような命令である。』
「可視化」と「目的の共有」「意識の共有」だな。
歴史は繰り返すのかなぁ。
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