航空機事故になると、必ずテレビに出てきていた柳田邦男氏。
氏の30年前の著である。
まだ、国内では事故調査に対して科学技術が充分注がれていなかった時代に、精神論や「乗員のミス」で片付けられていた航空事故に対して、丹念に調査を行って記述したものなのだろう。
いろんな事例が紹介されているが、ただ単に技術が低かったから大事故になった...という事例は少なく、複合要因が連鎖して、大事故に至っている内容がきちんと書かれている。
新書で250ページもしない分量であるので、内容が希薄になる懸念もあるが、多くの事例を取り上げているにも関わらず、充実した内容であると感じるのは、なぜなのだろう。
例によって、いくつか引用したい。
『教訓の第三は、小さな事故が起こったとき、そこに潜む潜在的な危険性をいちはやく見抜いて、根本的な改修や設計変更を行わないと、必ず大事故となって跳ね返ってくるということである。』
『教訓の第四は、機械の欠陥を、それを操作する人間の側のマニュアル(操作手順や注意)の追加によってカバーしようとすると、必ず破綻するということである。』
『事故調査とは、事故原因の直接責任者(過失者)を引きずり出して、"悪玉"をはっきりさせる作業なのか、それとも、事故発生に至る諸要因を洗いざらいさらけ出して、安全への手掛かりを見つけだそうとする作業なのか,...』
『「原因」(直接原因=cause)...「諸要因」(factors)』
『欠陥あるいはミスの危険から脱出するには...三つの視点...。
(1)設計技術論的アプローチ
(2)作業条件論的アプローチ
(3)行政論的アプローチ』
いわゆる、バスタブカーブに、ヒューマンファクターも加えたグラフも書かれていた。
��軸の取り方が、バスタブカーブとは上下逆さまになっているけど。
当たり前といえばそれまでだが、なるほどという感じ。
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